DBD::mysqlで大ハマリしたので、メモ。
問題が発生した環境。
① CentOS 7.6
② Apache 2.4.37(自力でビルド)
③ MySQL 5.6.44(自力でビルド)
④ perl 5.16.3
⑤ DBD::mysql 4.050(自力でビルド)
各ソフトウェアは、ひとつのOS上で複数のバージョンを稼働させる必要から、yum や rpm を使わず、基本的に自力でコンパイルして動作環境を構築している。
この環境で、Apache経由でアクセスし、perl から MySQLに 接続したところ、500エラーが発生した。
エラーログを見てみると、以下の様に記録されていた。
/usr/bin/perl: relocation error: /***/local/lib/perl5/auto/DBD/mysql/mysql.so: symbol mysql_options4, version libmysqlclient_18 not defined in file libmysqlclient.so.18 with link time reference
このような組み合わせの環境構築は、これまでに何度も行っているが、はじめて見るエラーだ。
自力でビルドした DBD::mysql の共有ライブラリ(mysql.so)から、自力でビルドした MySQL の共有ライブラリ(libmysqlclient.so.18)にアクセスして、なぜかエラーになっている。どういうことだ?
とりあえず、実行環境を模擬した上で、読み込まれるライブラリを確認してみる。
問題なく読み込まれている。
$ cd /***/local/lib/perl5/auto/DBD/mysql
$ LD_LIBRARY_PATH=/***/local/mysql-5.6.44/lib ldd mysql.so
linux-gate.so.1 => (0xb77a4000)
libmysqlclient.so.18 => /***/local/mysql-5.6.44/lib/libmysqlclient.so.18 (0xb73d6000)
libpthread.so.0 => /lib/libpthread.so.0 (0xb73b4000)
(以下略)
LD_LIBRARY_PATH を指定しなければ、当然「共有ライブラリが見つからない」エラーになるはずだよな、と、念のため LD_LIBRARY_PATH を外して確認してみる。
$ cd /***/local/lib/perl5/auto/DBD/mysql
$ ldd mysql.so
linux-gate.so.1 => (0xb779a000)
libmysqlclient.so.18 => /usr/lib/mysql/libmysqlclient.so.18 (0xb748a000)
libpthread.so.0 => /lib/libpthread.so.0 (0xb746f000)
(以下略)
が... あれ? エラーにならない。
「/usr/lib/mysql/libmysqlclient.so.18」を読み込んでる。何これ?
確認してみると、このファイルは確かに存在している。
このディレクトリに、MySQLのライブラリをインストールした覚えはないのだが...。
これは、CentOSが標準でインストールするものだろうか。
$ cd /usr/lib/mysql
$ ls -l libmysqlclient.so.*
lrwxrwxrwx. 1 root root 24 7月 8 03:21 libmysqlclient.so.18 -> libmysqlclient.so.18.0.0
-rwxr-xr-x. 1 root root 3052044 8月 17 2018 libmysqlclient.so.18.0.0
自力でビルドしたMySQLのライブラリを確認してみる。
$ cd /***/local/mysql-5.6.44/lib
$ ls -l libmysqlclient.so.*
lrwxrwxrwx. 1 root root 24 9月 17 2019 libmysqlclient.so.18 -> libmysqlclient.so.18.1.0
-rwxr-xr-x. 1 root root 7753856 9月 17 2019 libmysqlclient.so.18.1.0
DBD::mysql は「libmysqlclient.so.18」をロードしようとするのだが、コンパイル時に指定した、自力でビルドした MySQL の「libmysqlclient.so.18」に接続できず、標準の「libmysqlclient.so.18」に接続しようとして、エラーになっているようだ。
しかし、「/lib」とか「/usr/lib」とか「/usr/local/lib」とかなら、自動で読み込まれるのはわかるが、「/usr/lib/mysql」が自動で読み込まれるというのは、どういうことなのだろう?
もしかして、/etc/ld.so.conf か?
$ cd /etc/ld.so.conf.d
$ ls
mariadb-i386.conf
$ cat mariadb-i386.conf
/usr/lib/mysql
ビンゴ!
このサーバには mariadb も入れてはいるが、インストールの時に、このファイルを入れた覚えはない。CentOS が勝手に入れているのだろうか。余計な事をしてくれる。
少し古い CentOS の場合、どうなっているのだろう?
$ cd /etc/ld.so.conf.d
$ ls
mysql-i386.conf
$ cat mysql-i386.conf
/usr/lib/mysql
mariadb ではなく、mysql として、同じ設定が入っていた。
では、この「/usr/lib/mysql」には何が入っているのだろうか。
$ cd /usr/lib/mysql
$ ls -l libmysqlclient.so.*
lrwxrwxrwx. 1 root root 24 1月 22 03:45 2014 libmysqlclient.so.16 -> libmysqlclient.so.16.0.0
-rwxr-xr-x. 1 root root 1525312 11月 23 08:19 2013 libmysqlclient.so.16.0.0
「libmysqlclient.so.16」が入っている。
なるほどね、これまでは、バージョンが違っているから、たまたま競合しなかったのかと言う事なのか。
これは困ったぞ、どうするか...。
Apache は、DBD::mysql が共有ライブラリを読み込もうとするとき、/etc/ld.so.conf の設定に従ってしまうので、狙っていない共有ライブラリを読んでしまう。
それならば、Apacheを起動するときに、自力でビルドした MySQL のライブラリを読みに行かせるようにするしかないか。
と、言う事で、Apache の起動時の環境設定を変更する事にする。
# cd /***/local/httpd-2.4.37/bin
# vi envvars
以下の1行を追加。
LD_LIBRARY_PATH="/***/local/mysql-5.6.44/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
Apacheを再起動。
# systemctl restart httpd-2.4.37
無事、MySQL に接続できた。
ふぅ...。