重力と時間 「時空が歪む」とは

「強い重力の下では、時間の進行が遅くなる」と言われている。

強い重力の下では、時間の進行が遅くなる

これは本当だろうか。

強力な重力を持つ天体の代表はブラックホールだ。
物体がブラックホールに接近すると何が起こるのだろうか。

物体から発せられる光を追ってみようと思う。

まず、物体が、十分にブラックホールから離れている場合を考える。
実際には、どれだけブラックホールとの距離をとっても、重力の影響があると考えられるが、ここでは無視する。
観測者は、物体から30万Km離れている位置にいて、この物体を見たとする。
物体から発せられた光は、秒速30万Kmで進み、観測者は1秒後に物体を見る事になる。

十分にブラックホールから離れている

では、物体がブラックホールに近づき、秒速15万Kmで引っ張られる位置に移動したとする。
観測者は、物体から30万Km離れている位置にいて、この物体を見たとする。
物体から発せられた光は、秒速15万Kmでブラックホールに引っ張られ、結果、秒速15万Kmで観測者に向かって進む事になり、観測者は2秒後に物体を見る事になる。
つまり、本来の1秒前の物体の状態ではなく、過去である2秒前の物体の状態を見ている事になる。

秒速15万Kmで引っ張られる

更に物体がブラックホールに近づき、秒速30万Kmで引っ張られる位置のわずかに外側、ここでは、秒速29万Kmで引っ張られる位置に移動したとする。
観測者は、物体から30万Km離れている位置にいて、この物体を見たとする。
物体から発せられた光は、秒速29万Kmでブラックホールに引っ張られ、結果、秒速1万Kmで観測者に向かって進む事になり、観測者は30秒後に物体を見る事になる。
つまり、本来の1秒前の物体の状態ではなく、過去である30秒前の物体の状態を見ている事になる。

秒速29万Kmで引っ張られる

更に物体がブラックホールに近づき、秒速29.99万Kmで引っ張られる位置に移動したとする。
観測者は、物体から30万Km離れている位置にいて、この物体を見たとする。
物体から発せられた光は、秒速29.99万Kmでブラックホールに引っ張られ、結果、秒速0.01万Kmで観測者に向かって進む事になり、観測者は3000秒後に物体を見る事になる。
つまり、本来の1秒前の物体の状態ではなく、過去である3000秒前の物体の状態を見ている事になる。

秒速29.99万Kmで引っ張られる

更に物体がブラックホールに近づき、光の速度と重力の力が拮抗するところまで行くと、引っ張られる力と脱出する力がイコールとなるため、光はブラックホールに吸い込まれも、ブラックホールから脱出もできず、見た目上、物体はその位置に留まっているように(ブラックホールの表面にへばりついているように)見える。
これが「事象の地平線」であると言える。

本来、物体から30万Kmの位置にある観測者は、1秒前の物体の状態が見えているはずであるが、強力な重力下では、前述のように、もっと時間的に前の物体の状態を見る事になる。つまり、物体の「過去」を見ている事になる。
しかし、観測者が見ている物体は「1秒前」の状態に「見える」かもしれないけれど、実際には物体も「3000秒が経過」している。

ここで、「強い重力の下では、時間の進行が遅くなる」という言葉を思い出してみる。
観測者から見たら、確かに観測している物体は「3000秒前」である。
しかし、これが本当に「時間の進行が遅くなる」事なのだろうか。単に「光の速度が遅い」と言うだけ、すなわち、情報の伝達速度が遅いというだけで、物体も観測者も、同じだけの時間が経過しているのではないだろうか。


ところで、速さ、距離、時間は、以下の式で表される。

速さ = 距離 ÷ 時間

ここで、「速さを固定」と仮定した場合、すなわち、いかなる場合でも光の速度が変わらないと仮定した場合、距離が10であっても、10000であっても、左辺の速さは固定で変わらないから、以下の式が成り立つという事になる。

10 ÷ 時間 = 10000 ÷ 時間

普通に考えたら、この等式は、もちろん成り立たない。
逆に、この等式を成り立たせるためには、どう考える必要があるのだろうか。
この等式を成り立たせるためには「時間が歪む」と考える必要がある。この式に書かれている「時間」は、固定された数値ではなく、この式の中で変化するという事である。
これはすなわち、時間は伸縮させる事ができる、つまり、過去または未来に移動できる、すなわち、タイムマシンができるという事である。

変化するのが時間の場合でも同じである。時間が10であっても、10000であっても、左辺の速さは同じく固定で変わらないから、以下の式が成り立つという事になる。

距離 ÷ 10 = 距離 ÷ 10000

この等式も、普通に考えたら、もちろん成り立たない。
この等式を成り立たせるためには「距離(空間)が歪む」と考える必要がある。この式に書かれている「距離」は、固定された数値ではなく、この式の中で変化するという事である。
これはすなわち、空間は伸縮させる事ができる、つまり、ワープができるという事である。

「時間」または「空間」、もしくは、その両方が歪むという事であるから、これがすなわち「時空が歪む」という事だろう。

計算式から見れば、「速度が一定」ならば、そりゃそうだ、と思うし、「時空」という考え方を否定する気はないけれど、私はどうにも、「見た目」に惑わされているような気がしてならない。

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