「税務署は見ている。」を読んだ。
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クソ書籍。
よくもまあ、ここまで上から目線で書けるものだと思う。
退職したからといって、手のひらを返したように節税のノウハウを語る事は、私の良心が許しません。
節税の何が悪い。
むしろ推進されるべき事ではないか。
節税のノウハウを表に出す事に何の問題があるのか。
「私の良心が許しません」とは、何に対して許さないと言うのか。
節税できる事がわかっていながら、それを説明せず、本来ならば払わなくてもよい税金を納めさせる事が正しいとでも言うのか。
それは搾取ではないのか。
どこを調査に選べば、追加の税金をたくさん納めて頂けるのかを考えています。
そもそも、発想の原点がおかしい。
税務署の仕事は「適切な納税を行わせる事」であって、「たくさん税金を取る事」ではない。
税務は商売ではない。
この書籍の著者は、いったい何を考えて仕事をしているのか。
調査官がどういう印象を抱くのかは、その後の調査に大きな影響を与えます。
要するに、公正公平な視点ではなく、調査官の胸先三寸で決まるという事か。
「心証」などという言葉で自分の行動をごまかす事は許されない。
心証を悪くしたら余計に税金を納めなければならないとするならば、裏を返せば、心証を良くすれば脱税が見逃されるという事である。
これは、警察が「オレの心証が悪いから、おまえは犯人だ」と言っているのに等しい。
「こいつは人当たりが悪いから犯人だ」などという考えで捜査を行っている警察官がいるとしたら大問題である。
同様に「こいつは人当たりが悪いから脱税している」という考えで税務調査を行っている調査官がいるとしたら大問題である。
この書籍の著者は、いったい何を考えて仕事をしているのか。
「勝手に調べてくれ!」
と言ってしまう事があります。
そうすると、調査官だった私は、机の下でガッツポーズをしたものでした。
「勝手に調べて!」と経営者が言ったのです。気になる事は遠隔地の金融機関でも、遠くの取引先でも、何ヶ月もかかっても気の済むまで調べられると解釈していました。
要するに、言葉尻を捕まえて、揚げ足を取って調査を行うという事か。
権限を持ち、強制力を持ち、その気になればいくらでも弱者を痛めつける事ができる立場の者が、このような考えで立ち振る舞う事は許される事ではない。
ある会社が税務署から「事前通知」の電話を受けた際に、社員が取るべき対応ポイントは以下の点についてきちんと聞くことになります。
①電話をかけてきた担当者は国税局の調査員なのか税務署の調査員なのか
②何課税の第何部門なのか
③電話をかけてきた調査員の役職とフルネーム
④連絡先の電話番号
電話を受けた社員は、このポイントについてしっかり聞き
アホか。この連絡を受ける事が、一生のうち何回あると思っているのだ。
この世の中の事務員で、この電話を一度も受けない人が99.9%以上だろう。
我々は、国税庁や税務署のために仕事をしているのではない。
まったく受ける事のない電話のための教育や周知などするわけがないだろう。
国税庁や税務署が、電話をかけてきた時に、「自らが」上記の事を電話を受けた社員に伝えるべきではないのか。
どれだけ上から目線なんだ。
国税庁や税務署は、毎日この仕事をしており、その道のプロなのだから、プロにとって、それは常識なんだろう。しかし、この電話を受ける社員は、はじめての事だ。プロである側が、きちんと丁寧に説明をするべきだ。
驚くべきは、この書籍の初版は2013年。
今時、こんなレベルの低い考え方で税務調査を行っている奴がいるとは。
うちの会社に来た地方税務署の調査官の方が、よほどしっかりした考え方だった。
こんな考え方で税務を行っているから、いつまでたっても税務署は信頼されない。
企業から敵視されるのは当然だ。
こんな、経理が何たるかも、自身の仕事である税務が何たるかもわかっていない奴に調査された会社は不幸であるとしか言えない。